2. 細胞は多様な死のメカニズムを準備している
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参照
1. アポトーシス研究を推進したブレイクスルー
第3章 Bcl-2ファミリータンパク質によるプログラム細胞死の制御
7. Bcl-2ファミリータンパク質は非アポトーシス細胞死も制御する
8. ネクローシスを制御するミトコンドリアの孔
キーワード
ネクロスタチン, オートファジー, シクロフィリンD, ミトコンドリア膜透過性遷移現象
アポトーシスは生化学的にはカスパーゼの関与した細胞死と捉えることができるが、最近カスパーゼ非依存的な細胞死メカニズムの解析が進んでいる
TNFレセプターやFasなどを刺激するとアポトーシスが起こるが、カスパーゼの活性化を抑制すると、細胞は最終的にネクローシスに至る
最近、この細胞死がNecrostatin1(ネクロスタチン1)と命名された比較的単純な化合物により抑制されることがわかり、この細胞死メカニズムの解明の糸口となっている
この化合物は、脳における虚血・再灌流障害も軽減されることが示され、この種の細胞死の病理的細胞死への関与が示唆されている
一方アポトーシスを起こさない細胞(Bax/Bakノックアウト細胞)を用いた解析により、アポトーシス誘導剤によってオートファジーに依存した細胞死が起こることが示されており、従来から形態的に定義されてきたオートファジックプログラム細胞死の解析に貢献している
また、アポトーシス時のミトコンドリア膜透過性亢進の分子機構の解析の一環として、ミトコンドリア膜透過性遷移現象(mitochondrial membrane permeability transition:MPT)の解析がノックアウトマウスを用いて複数の研究室でほぼ同時期に行われ、酸化ストレスや過剰なカルシウムにより誘導されるネクローシスに、シクロフィリンD依存的なMPTが関与することが示された
さらに、シクロフィリンDノックアウトマウスは心筋梗塞や脳梗塞時の組織障害に強い耐性を示すことが報告され、この種の細胞死のメカニズムの詳細な解析のよい材料となっている